結婚してから避妊を行わなかった場合、最初の1年で8割のご夫婦が、そして2年が経過しますと9割のご夫婦が赤ちゃんを授かることになります。従いまして結婚後1~2年経っているのに妊娠の兆候が無い場合には不妊症である可能性があります。妊娠が成立するためには、5つのファクター、すなわち卵子・精子・卵管・子宮・女性ホルモンが整う必要があります。どれか一つでも調子が悪いと妊娠は成立しません。
不妊原因の1番目は卵管の異常
当院にご相談に来て下さる患者様の場合、卵管に問題のある方が一番多く見受けられます。卵管はとても繊細な構造をしているため傷つきやすいものなのです。近年、卵管鏡という極細のカメラで卵管の中を観察したり、このカメラを使って卵管を中から治す手術が可能になって参りました。日帰りで行える体に優しい治療です。卵管に問題があるため体外受精しか方法が無かった患者様でもこの「卵管鏡下卵管形成手術」にて自然妊娠を期待できるようなっています。
男性側に原因のある不妊症
さて、不妊の原因の2番目は精子の問題です。近年男性の精子が少なくなって来ていると指摘されています。実際男性に不妊症の原因が見つかるカップルがおよそ48%という調査があります。精子を造る機能に障害がある造精機能障害や勃起・射精に問題がある性機能障害など原因は様々です。どこに問題があるのか突き止めることが重要であり、原因によって治療法も大きく変わってきます。女性のクリニックを受診するなんて、と診察を受けるのを躊躇しがちではありますが、場合によってはごく簡単な治療ですむことも多いのでぜひ早めに検査を受けることをお勧めいたします。フーナー検査や精液検査はご主人は受診しなくても受ける事のできる簡単な検査です。まずはフーナー検査や精液検査から始めましょう。男性不妊の治療は、お薬の内服からはじまり、人工授精や体外受精そして顕微授精へとステップアップする場合もあります。男性不妊の治療は画期的に進歩しており、現在では高度の乏精子症や無精子症の場合でも充分に妊娠可能となっています。